[そうしてしっし、と振られた手>>112には、日の傾いてきた空を見上げ。
"思ったよりも長居してしもうたね"、とよいこらせと腰を上げる。
はく、と漏れた息の音には、ついと僅かに眉を寄せ。そんなに喉が辛いのかしらと、彼女の顔を覗き込んではみるけれど…返ってきたのは一際高い三味線の音ばかり。]
ほなら、私はそろそろお暇しようかな。
喉、お大事にね――聞けなくなったら、キミを探し辛うなってしまうし。
――……またね、…志乃。
[ツンとひとつ、彼女の鼻先を指でつつき。
彼女が場所を移動するならそのままその場を離れただろう。
赤く染まる空の下、瞽女がその頬を夕陽で染めなかがらさらに一曲奏でるのなら。
こっそりと――きっと気付いてはいるだろうけれど――もう少しだけその音を聴き、銭だけ投げて次は言葉を掛ける事無くその場を後にはしただろうけれど。]*
(7) 2015/01/24(Sat) 13時頃