…、どうして先生はここにいるの?
[ 本当の“うみ”も、においのする花だって幾らでも見られるんだろうに。と、白い壁を回し覗いた。くぐもった声はもとより、届かなかったかもしれない。聞き返されでもしなければ、何度も問うつもりもなかった。
――本当のうみを、彼は、管理者たちは見た事があるのだろうか。
うみを、本当のひかりを見たら、ここでの暮らしに自分は耐えられるんだろうか。
勿論仕事だといわれれば頷くしかない。管理者は自由に外へ出入りできることも解っている。ただ包帯に浮かぶ血を見ながら、――先ほど、滲む程握りしめられた掌を思い返す。それにどんな意味があるかなんて、自分の考え及ぶところでもなかったが。
警告か忠告か知れないそれ>>0:162を受けつつ、別に好きで傷つけてるんじゃない、と。八つ当たりじみた感情を逃がすよう、踏みつけた血をグリと数度、躙った*]
(4) 2015/07/10(Fri) 03時頃