――っは、
[押し付けられる唇に短い吐息を洩らす。屈められる体をぐっと押して、必死に顔を背けた。
――気持ち悪い。やっと落ち着いてきたというのに、これでは全て無駄じゃないか。
再び震え始める体を自覚して、浅く浅く息を吐き出す。呼吸の数が増えて、疲弊した喉からは酷く頼りなげな音が洩れた]
……う、るさ、い。
関係無い、だろう。
[離された顔にやっと安堵し、口元を覆って。
態とらしい質問には吐き捨てる様に答え、俯いたまま眉を寄せる。そうして、ともすれば再び痙攣を始めそうな胃袋を押さえ、必死に嘔吐感と戦った。
もう少し長く口付けていたならば、彼の口にそのまま吐き出していたかもしれない。それはそれで面白かったかもしれない、とは。流石に思えなかったけれど。
――きっとこいつは、全部分かって聞いてきているのだろう。この喉の痛みの意味も、それを口にしたがらないわけも。分かって敢えて、自分に口にさせようとしているのだろう。
嗚呼、腹立たしい。これじゃあどちらにしても、全て彼の手の上で踊らされているだけじゃあないか]
(+85) 2014/07/05(Sat) 01時頃