[――そんな思いがあったのと、仕返しの成功が重なって、少し気が大きくなっていたからだろうか。悪意ある笑みに萎縮する事は無く、ただそれを睨みつける。
晒された傷口は酷く痛むけれど、今はそんな事どうでもいい]
こ、の……!
[一度やり返してしまえば、何だかもう、ただ怯えるのは馬鹿らしくなってしまった。
此方からも手を伸ばして、頬にひたりと手を当てる。そこからついと指を滑らせて――彼がいつもつけているピアスに触れた。
ほんの少し、躊躇う様にそこに留まって。けれど此処まできたら引く事なんて出来ないと唇を噛む。
……後の事なんて知ったことか。そうして後悔した事は数ある筈なのに、またそんな事を考える。今回もどうせそうなると、分かってはいるのだけれど。
赤いピアスにぐ、と。指を引っ掛ける。抵抗が無い様なら、そのまま引きちぎろうと力をかけた。
もしそのピアスを引きちぎる事が出来たなら、してやったとばかりに嘲笑をその唇に乗せただろう]
(+66) 2014/07/06(Sun) 18時頃