[出来るか、などと。優しげに落とされた言葉は、脅迫にしか聞こえない。他に方法は無いのだと示したのは、そちらのくせに]
――や、
[薄く唇を開いて、喉を震わせて]
やめて、ください。
……ゆ、許し、て、ください。
[嗚咽混じりに許しを乞う様は、酷く惨めだっただろう。――けれど、他にどうすればいいというのか。災厄の様な暴力から逃れる術は、ディーンには無いのに。
抉られ開いたらしい顎の傷が、じくりと痛みを増す。言葉を発する度、泣き声を耐える度、存在を主張する様に痛むそれは、いつになったら治ってくれるのだろうか]
もういい加減、解放してくれよ……。
[小さく付け足した言葉は、彼に届いたかどうか。
"今日は"なにもしないと言った彼が、自分を手放す様は想像できなかったけれど。それでも、今この瞬間だけでも逃れる事が出来れば、それでいい。
この痛みから、一時でも目を背ける事が出来れば]
(+49) 2014/07/06(Sun) 11時頃